行事案内

礼拝説教要約(201817日)

人として、神の子として」     聖書・ルカ福音書24052

 救い主誕生の地と預言されていたベツレヘムで生まれ、聖霊に導かれた老齢のシメオンと女預言者アンナとに、「この幼子こそ救い主である」と宣言され、ヘロデ王の殺害の手を逃れてエジプトに非難したイエス様は、意図することなく、イスラエルの民が体験し、又、失敗してしまった出エジプト(霊的には罪のこの世を脱出し、神の約束の地に入る)を追体験し、両親の故郷・ガリラヤのナザレに帰り、12歳にまで成長しました。

 この時までイエス様は、他の子ども達と全く変わりなく「人として」、両親の守りと愛の中で成長しました。

 「12歳」それは、イスラエルの男子としては、子どもとしての最後の年齢です。男子は13歳になると、「バル・ミツパー」という儀式を経て、「戒律の子」と呼ばれ、律法に従う責任が生じました。ミツパーとは戒律で、ちなみに、女子は男子より早く、12歳で「バト・ミツパー」の儀式をし、律法を破れば本人自身が責任を負わねばならない者と認められました。

 ヨセフとマリアは、「過越祭には毎年エルサレムへ旅をし」(:41)礼拝を守る、律法に忠実な人々でした。毎週の礼拝もナザレの会堂で忠実に守ったことでしょう。この両親は、イエス様がバル・ミツパーを迎える準備として、12才のイエス様を、過越の祭りに伴って行ったのです。イエス様親子だけでなく、ナザレの村人たちが集団で行ったと思われます。

 祭りが終わってヨセフとマリアも帰途に着きました。両親はイエス様が村人や年上の友達と一緒にいると思い込んで、気にすることなく1日分の道のりを帰りました。(エルサレムとナザレ間は直線で100キロメートル、普通に道を歩けば130~140kmありますから、3,4日の道のりです)しかし、夜になり、眠る時になってもイエス様が見当たらないので、「親類や知人の間を捜し回り」(:44)ながらエルサレムへと引き返しました。まだ12才の子どもが迷子になり、両親はどんなに心配したことでしょう。3日もかかってエルサレムに引き返しました。祭りが終わり、閑散としているはずの神殿の境内に人だかりがあります。ヨセフとマリアはそこに行き、「イエスが神殿の境内で学者たちの真ん中に座り、話を聞いたり質問したりしておられる」(:46)のを見つけたのです。

 両親はイエス様がいたことに安心しましたが、学者たちと対等に話しておられるイエス様に驚くと共に、「なぜこんなことをしてくれたのです。御覧なさい。お父さんもわたしも心配してさがしていたのです。」(:48)と、マリアは声を荒げて言いました。しかし、両親に返ってきたイエス様のことばは、「どうしてわたしを捜したのですか。わたしが自分の父の家にいるのは当たり前だということを、知らなかったのですか。」(:49)という、不思議な理解し難い返事でした。イエス様が神の子・救い主であることを知っている私たちには、何の不思議もありませんが、当時の人々にとっては、真に理解し難いことだったでしょう。今日の出来事は、イエス様の中に、「自分が神の子、約束の救い主としてこの世に来た」との自意識が生まれていたことを示しています。

 でもイエス様は、そのまま神殿(父の家)に残ることをせず、ご両親と共にナザレに帰りました。「イエスは一緒に下って行き、ナザレに帰り、両親に仕えてお暮らしになった。」(:51) それは、神の臨在と共に働く30才という年齢になるまで、全き人として両親にお仕えしてお暮らしになるためでした。

 でもなぜ、神の子・救い主としての自覚があるのに、30歳になるまで、父ヨセフの家業・大工として過ごされたのでしょうか。それは、律法を全うするためです。民数記4章には何回も「臨在の幕屋作業に従事することのできる30歳以上50歳以下の者」と記されています。自己責任ある者になるのは、先にも言ったとおり13歳以上。兵士は20歳から、レビ人としての働きは25歳から行なえましたが、主の臨在を帯びてなす祭司の働きは30歳からと規定されていました。律法を完全に守り、罪の無い者として救い主の働き「神の子羊」となるために、イエス様は祭司としての働きをすることのできる30歳まで、人として過ごされたのです。俗なるこの世で、罪を犯すことなく、人として、又、神が聖であるように聖なる者(神の子)として生きることは、真に困難であります。でもイエス様は見事に地上での生活を全うしてくださり、神の子としての働き・贖いの子羊としての備えを成し遂げられました。だからこそ「事実、ご自身、試練を受けて苦しまれたからこそ、試練を受けている人たちを助けることがおできになるのです。」(ヘブライ2:18~19)とあるように、私たち人の見本ともなられたのです。

新着情報











Copyright(c)Okamura Church All Rights Reserved.