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礼拝説教要約(2016109日)

」     聖書・サムエル記上101724

 同盟国であるとはいえアメリカのニュースは、日本でもよく話題になります。今、行なわれている大統領選挙もよく放送されていますが、一人の候補は難民問題で、メキシコとの間に壁を作ると言っています。でも米国はもともと、移民・難民の国です。米国は西欧の植民地とされていた時代を経、諸々の国からの移民が集まり、独立戦争を経て、1783年にパリ条約を交わし独立。1787年に憲法を制定し、アメリカ合衆国が誕生しました。王国時代を経験していない、国の成り立ちにおいては特別な国です。

 他の大多数の国々は王国時代を経ています。先週、「絶対者なる神を知らない国、人、時代は自分が正しいと感じることを行うより仕方がない。しかしそれは何と過ちの多いことか。永遠に変わることのない真理を知らない。それゆえ、人の考え方は多様化する」と言いました。そのようにして、智力、武力を持った者が権力を持ち、王として君臨し支配する王国時代が生まれる。日本も同じような道を辿り、大日本帝国を築いてきました。

 しかし、聖書の民イスラエルは、王国成立に於いて少し違った道を辿りました。イスラエルはエジプトを脱出し、約束の地に定着した後も周囲の異邦人の侵略、略奪をたびたび受け苦しみました。その度に主なる神は、士師を起こし、これを退け、また、裁き司として士師を用いました。更にこの国の政の根幹は、「あなたたちは、わたしにとって、祭司の王国、聖なる国民となる。」(出エジプト19:6) とあるように、祭儀でありました。イスラエルの民にとって「王」は「主なる神」なのです。しかし異邦人との戦いの中でついに、目に見えない神より、戦いに於いて実際に先頭に立って導く、人間の王を望んだのです。民がサムエルにその願いを訴えた時、主は「民があなたに言うままに、彼らの声に従うがよい。彼らが退けたのはあなたではない。彼らの上にわたしが王として君臨することを退けているのだ。」(サムエル上8:7)と言われました。そして、人間の王を立てることは、王のために働き、息子は兵士として徴用され、娘も徴用工となる。重税が課せられ、人間に階級が生まれる。最終的には皆が王に服従を強いられる奴隷となることだと告げられました。((サムエル上8:10~17) それでも民は王を望んだのです。そして最初に立てられた王がベニヤミン族のサウルだったのです。

 イスラエルと呼ばれるようになった民俗の父祖・ヤコブは最期の祈りで「王しゃくはユダを離れず、統治の杖は足の間から離れない。」(創世記49:10)と預言しています。なのに、この預言されていた大部族ユダからではなく、最小のベニヤミン族から、最初の王は選ばれたのです。サウルはサムエルから、王となるべく選ばれていることを告げられた時、「わたしはイスラエルで最も小さな部族ベニヤミンの者ですし、そのベニヤミンでも最小の一族の者です。どんな理由でわたしにそのようなことを言われるのですか。」(サムエル上9:21)と、いぶかし氣に問うています。そして、全部族立会いのもとで王を選ぶくじ引きがなされ、サウルが王として選ばれた時も、「見よ、彼は荷物の間に隠れている。」(:22)と記されているように、謙遜で控えめな人物だったのです。

 このような王の立ち方は、他の国々の「智力、武力を持った者が権力を持ち、王として君臨」という過程とは違います。自ら力で成り上がり、自らを誇る者ではなく、力ない小さな者が、神の定めによって王となったのです。何ゆえ、最も小さい者なのでしょう。それは、神にとって、その人の力が有るか否かは問題でありません。主がその人を働き人として用いるとき、主は霊を注ぎ、力を与えられます。「主の霊があなたに激しく降り、あなたも彼らと共に預言する状態となり、あなたは別人のようになるでしょう。」(10:6) そして、人間にとって最後に残る罪は高慢だと言われています。だから、高慢を戒める意味もあって、最小の部族から、謙遜なサウルが選ばれたのでありましょう。しかし、このようなサウルでさえ、自分の地位が確立すると高慢になってしまったのです。

 神の民の王は、神ご自身です。イエス様はピラトの裁判の場で「わたしの国は、この世には属していない。もし、わたしの国がこの世に属していれば、わたしがユダヤ人に引き渡されないように、部下が戦ったことだろう。しかし、実際、わたしの国はこの世には属していない。」(ヨハネ18:36)と言っておられます。そしてイスラエル(新しいイスラエルであるキリスト者)は「祭司の王国、聖なる国民」なのです。祭司の国とは他者のために執り成す愛に満ちた国です。それこそが主を中心としたキリスト者の国、天国といえましょう。

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