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礼拝説教要約(2016710日)

「主の召しと派遣」       聖書・出エジプト3114

 モーセは、エジプトで奴隷とされているイスラエル人ではありますが、神の不思議な取り扱いにより、王女の子として王宮で育ちました。王宮で高い教育も受けたのも、イスラエルを導く指導者となるため、主のなされたことだったのでしょう。エジプトの王子ではありましたが、モーセは自分がイスラエル人であることを意識していました。そして、どうかして同胞を守りたいと思っていました。

 211節からの出来事は、モーセが未だ、主の器として整えられていなかったことを示しています。彼はヘブライ人が重労働を強いられ、また、同胞の一人がエジプト人に打たれているのを見ました。彼は同胞を助けるためエジプト人を打ち殺し死体を埋めました。彼は同胞を助けたと思っていました。しかし、ヘブライ人たちは、そのようには受け取っていませんでした。“自分は何不自由ない、安全な場所に居て恵みを施したつもりになっている。でも、本質的には何にも変わっていない。それどころかかえって、エジプト人が殺されたことが知れれば、ヘブライ人がもっと窮地に立たされる。”とヘブライ人たちの反感を買っていることに、モーセは気付かなかったのです。「誰がお前を我々の監督や裁判官にしたのか。お前はあのエジプト人を殺したように、このわたしを殺すつもりか。」(:14)との言葉に、失望と、恐怖がモーセを襲いました。彼はエジプトを出奔しました。そしてミデアンの地に逃れたのです。そしてその地で結婚し、子どもを与えられました。かつての王宮の華やかさもなく、同胞を苦しみから助けるという希望や情熱も消え、羊飼いとして40年を穏やかに暮らしました。

 早80歳。もうこのままで自分の人生は終わって行くと思っていたでしょう。しかし、40年という年月も、この地での生活も神の配剤の中にありました。イスラエル人と共に、エジプトを脱出した後の40年は、このミデアンの地で生活することになるのです。

 モーセはある日、羊の群れを飼い、神の山ホレブに来ました。(1) 「そのとき、柴の間に燃え上がっている炎の中に主の御使いが現れた。彼が見ると、見よ、柴は火に燃えているのに、柴は燃え尽きない。」(:2)という、不思議な光景を見ました。これが主なる神のモーセへの顕現でした。聖なる神の前に、彼は畏怖の念をもって立たされました。そして「わたしはあなたの父の神である。アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神…今、行きなさい。わたしはあなたをファラオのもとに遣わす。わが民イスラエルの人々をエジプトから連れ出すのだ。」(6,10)との使命を与えられ、召を受けたのです。到底なし得る使命ではありません。若く、王子として力のあった時でさえ不可能だった。ましてや今、エジプトの逃亡者であり、年老いた、ただの羊飼いであります。モーセは主に言いました。「わたしは何者でしょう。どうして、ファラオのもとに行き、しかもイスラエルの人々をエジプトから導き出さねばならないのですか。」(:11)と。

 これこそが、神の待たれた「時」だったのです。神はこのような「何者でもない者」と心砕かれた者を用いるのです。“私は年老いたから、何も出来ません”と言うことは止めましょう。救いの業は人間が行なうことではありません。神のなさる業です。神がモーセを用いられたように、ことの大小は別にして、あなたを神は今もお用いになれます。主は私たちが「自分がやった」と傲慢にならないよう、心砕かれ「私は何者でしょう」と言う時を待っておられるのです。

 人生が軌道に乗り、老齢になって、特別の喜びはないかもしれないが、「平穏に、このままで」と思う心は誰にでも起こるでしょう。しかし、全ての源である創造主、このお方が救いを与えんとして、今も働いておられるのです。主はイスラエルの民を「わたしの民」(:7)と言われ、「わたしは必ずあなたと共にいる。このことこそ、わたしがあなたを遣わすしるしである。あなたが民をエジプトから導き出したとき、あなたたちはこの山で神に仕える。」(:12)と遣わす意味をも打ち明けられました。主なる神は、罪を負い、滅び行く人間を今も「わが民」と呼ばれるのです。そして私たちを用い、信じるものをご自身の民となして、エデンの園での「良しとされた交わり」を回復しようとされておられるのです。

 召命は必ずしも本人にとって楽しいと感じられることではないかもしれません。しかし、主と共に歩み、主の良きおとずれを伝えることは、生甲斐のあることです。主イエス様は迫害を受けても「わたしの父は今もなお働いておられる。だから、わたしも働くのだ。」(ヨハネ5:17)と言われました。この御方の召しに応え、共に働くことが真の喜びを味わう道なのです。

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