行事案内

                       礼拝説教要約(20151213日)

「飼い葉桶に眠るイエス様」  聖書・ルカ福音書217

 「マイナンバー(個人番号)カード交付を申請しなさい」との案内状が届きました。国民の状態を知り、把握、管理しようとする行政にとっては便利なのでしょう。税や年金、保険等の手続きにとっては、書類が削減されるそうで、利便性が高くなることも確かでしょう。でも、わたし個人としては、人が番号で識別されるというのに、何となく抵抗感があります。また、情報の流出、漏洩の危険と、それによる犯罪が増大するのではないかと懸念しています。

 イエス様が生まれた時代にも、行政側が、徴税や徴兵のための資料を作るため人口調査が行なわれました。これが「皇帝アウグストゥスから全領土の住民に、登録をせよとの勅令がでた。これは、リキニウスがシリア州の総督であったときに行なわれた最初の人民登録である。」(:12)とあるものです。資料の正確さを得るためでしょうか、ローマ支配下の全住民が、生まれ故郷に戻って登録しなければなりませんでした。

ヨセフはユダ族・ダビデ王の末裔でしたから、ダビデの町と言われたユダの地ベツレヘムまで行かねばなりませんでした。身重になっているマリアを伴っての旅は大変だったろうと思います。ナザレからベツレヘムまでは直線で120kmほどです。途中にサマリヤなどユダヤ人が避けて通る所もありますから、その旅程は、4、5日は掛かったのではないでしょうか。他の人より歩みが遅かったせいか、ベツレヘムの宿屋はもう一杯で、寝る所さえない状態でした。やっと見つけたのが馬小屋だったわけです。そして月満ちて生まれた赤ちゃん・イエス様は、飼い葉桶に、布にくるまれて寝かされました。こんな貧しく低い境遇で生まれた人がいるでしょうか!

 大分前に読んだ長谷川保氏(聖隷福祉事業団理事長)が書いた「夜もひるのように輝く」を読んだことがあります。そこに、奥様は子どもを、バラック小屋の土間で出産したことが書いてあったことを思い出します。長谷川氏は一人の結核患者との出会いから、病舎を建て、生活できるようにと保養農園を造りました。そして更にそれらが発展し、聖隷病院、特別擁護老人ホーム、ホスピス、各種学校、医療関係学校等となったのです。長谷川氏は福祉医療教育に力を尽くしましたが、本人は生涯、私的財産を持たず、病院敷地内のバラック小屋に住み続けたそうです。表彰、叙勲も有ったでしょうが、ご本人が記しているのは、日本キリスト教文化協会よりキリスト教功労者表彰だけです。そして、身体も骨格標本として献体し、聖隷歴史資料館に、今も展示されているそうです。これらの働きと行動は、主イエス・キリストに倣う歩みから生まれたものにほかありません。

 馬屋の飼い葉桶が、イエス様の地上でのスタートでした。これは、どんなに低く、惨めな人の心をもご存知であり、慰めることがおできになることを示しています。パウロは「かえって自分を無にして、僕の身分になり、人間と同じ者になられました。人間の姿で現れ、へりくだって、死に至るまで、それも十字架の死に至るまで従順でした。」(フィリピ2:78)と言っています。この言葉がイエス様の生き方を表わしています。

 イエス様ご自身「あなたがたの間では、そうであってはならない。あなたがたの中で偉くなりたい者は、皆に仕える者になり、いちばん上になりたい者は、皆の僕になりなさい。人の子が、仕えられるためではなく仕えるために、また、多くの人の身代金として自分の命を献げるために来たのと同じように。」(マタイ20:2628)と言われました。イエス様の人生は究極のへりくだりを示しています。貧しい夫婦の子として生まれた時から、枕する所もない旅人としての歩みでした。

 私たちはそのイエス様に場所を用意したいですね。私の心がイエス様の居場所でありたい。そして、あなたの心もイエス様の居場所で有って欲しい。あなたの心にイエス様が生まれ、更に、心の王座がイエス様の居場所であり続けて欲しい。イエス様は私たちのためにこの世においでくださいました。それは私たちをこの世から贖うためでした。そして今は、天に、私たちの場所を備えてくださっているのですから。

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